Rakuten FinTech Conference 2017にみるFinTechの向かう先

今年で3回目となる Rakuten FinTech Conference。2017年9月27日にホテルニューオータニで開催されましたが、今年も錚々たる方々が登壇され、講演・ディスカッションをされる場となったようです。基調講演の竹中先生に始まり、海外のFinTech関連の企業の役員から一橋大学の野口先生やMITメディア所長の伊藤譲一さんまで、海外での動きが先行しているFinTechの最先端の動き、これからどこに向かっていくのか、FinTech革新が変える世界と日本を感じさせてくれたConferenceの様子をオンラインメディアの記事をピックアップして紹介します。なお、Conferenceの公式サイトに動画のアーカイブもありますので、さらに詳しい内容を見てみたい方はいまからみてみることもできます。

※下記サイトからの転載。ビッグデータ・AIなどに関するトピックを毎週取り上げています。
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竹中平蔵氏が一刀両断、FinTechが抱える本当の課題

ITProのRakuten FinTeh Conference 2017レポートです。慶応義塾大学名誉教授 東洋大学教授 元国務大臣竹中平蔵氏の基調講演「昨今の日本経済・アベノミクスの課題とFinTech革命」をレポートしているものです。

AI、IoT、ロボット、ビッグデータ、シェアリングエコノミーなどの新たなテクノロジーによって今、起きている変化を端的に示すと、既存の産業を支えてきた社会インフラがもはや必要なくなったといっています。タクシー産業やホテル・旅館業の国の制度とお墨付きが提供していた信頼をビッグデータをもとにしたITが提供できるようになりつつあり、FinTechの進展によって今まさに金融業界でも起きていると強調。

ただ、金融ではブロックチェーン技術を活用した取り引きなど安全性の立証も重要になります。そこで英国では「レギュラトリー・サンドボックス」を設置し、現行法の規制を一時的に停止するなどの規制緩和を実施。同時にサンドボックス内での実証実験も展開しているとのこと。日本でも政府の成長戦略の1つとしてレギュラトリーサンドボックスが導入されたが、大切なことはそれを今後、どのように利用するかであると民間主導での利用が進むことへの期待をみせていました。

最後に、「FinTechの進展で最も重要となるのは個人認証基盤の整備であると感じている。個人認証こそが、今後、FinTechに限らずテクノロジーが進展した社会で最も重要なインフラになってくる」と語り、マイナンバーカードの発行が遅れている日本の現状を憂え講演を終えたようです。

 

AIこそFinTech革命の「加速装置」、5年後の未来はこうなる

こちらもITProのRakuten FinTeh Conference 2017レポートです。「AIがもたらすFinTechの革新」と題したパネルディスカッションの中で、産・学双方の立場からAIがもたらすインパクトについてさまざまな意見が交わされた様子をレポートしています。

世界最大級の資産運用会社の日本法人であるブラックロック・ジャパンの入山氏は資産運用におけるAIの活用の実態を説明してくれていますが、最近は、証券会社のアナリストのレポートを「4000レポート、3万6000ページ、53言語」にわたってAIに読み込ませて学習させ、市場の“感情”を読めるようにまで進化させているとのこと。

IBMでWatsonの研究を手がけられているトビー・カッペッロ氏はAIがFinTech分野を始めとする産業分野に今後五年間で起こる使われ方の大きな変化として「二つある」と述べています。まずはAIが解析する対象がより広範囲になるとのことで「データには非構造化データと構造化データがあるが、AIの未来はテキストの中にある」、つまり、論文や報告書などのテキストデータ、写真やイラストなどの画像も含めて膨大なデータを解析することで知見を抽出するようになるといいます。

そしてもう一つが、AIの「推論」機能のさらなる活用とのこと。「Watsonでは、すでにある映画を見せると、その予告編の映像を作ることができるようになった。つまり、人間がどこに興味を持ちどこに面白さを感じるのかを理解し、推測できるようになるまで進化した」と説明しています。

 

量子コンピュータはブロックチェーンの脅威になる

ブロックチェーンの進化とDigital通貨」と題したパネルディスカッションについての ITProのRakuten FinTeh Conference 2017レポートです。

パネルディスカッションの最初のテーマの中で、一橋大学の野口先生が、「電子マネーと銀行発行の仮想通貨には管理主体がいるが、ビットコインにはいなかった」「ビットコインを運営しているのはP2P(ピア・ツー・ピア)でつながったコンピュータの集まり。集まりに過ぎないのに、信頼が求められる事業を実行していることはコンピュータサイエンスにおける非常に大きなブレイクスルーだ」と強調しています。

野口先生は、また続いてのテーマのICOの中では、「スタートアップ企業が株式ではない新たな資金調達の方法を手に入れた。『資金調達の方法を民主化した』という意味で重要なイノベーションだ」と強調しつつも、事業が実際に行われる前に、ホワイトペーパー(計画書)を出した段階で資金を調達できてしまうところが、IPOよりもリスクが高くなっている要因の一つとして、今後、検討を進めていく必要があると述べています。

最後のテーマはブロックチェーン。野口先生は、現在のコンピュータをはるかにしのぐコンピューティング能力をもつ量子コンピータが発展するとブロックチェーンを支えている暗号化技術が破られてしまう可能性があると述べつつも、新しい暗号化技術も開発されつつありそのような暗号化技術では量子コンピュータでも簡単に解くことはできないと考えられていると説明し、今後も新しいブロックチェーンが開発され発展していくだろうと見解を述べています。

 

日米中のキーパーソンが集結、決済の新星たちが注目する技術

「The Future of Payments」と題したパネルディスカッションについての ITProのRakuten FinTeh Conference 2017レポートです。

中国で「WeChat Pay」を運営するTencentのリン・タン バイスジェネラルマネージャー、「Zelle」を運営する米Early Warning Servicesのエリック・ウッドワード リスクソリューション担当グループ プレジデント、Kyashの鷹取真一 代表取締役が登壇。テクノロジーの進化が決済をどう変えていくのかについて議論を交わしたが決済サービスの進展において、重要となる技術への答えは、3社ともに「個人認証技術」とのこと。
タッチポイントでの個人認証技術、顔認証技術などが決済の進展においても重要となるようです。

仮装通貨だけではないブロックチェーン技術の可能性をオンラインメディアの記事から

ビットコインに関する記事もさまざまなメディアによく取り上げられていますが、そのビットコインをささえる技術であるブロックチェーン技術に関する話題も、仮想通貨に限らず結構目にするようになってきました。
自動運転、シェアリングエコノミー、さまざまな分野への適用の可能性がとりあげられている「ブロックチェーン技術」。
ブロックチェーンとは何か、何が革新的でなぜ仮想通貨以外にもさまざまな分野にも適用できる可能性があるのか、ブロックチェーン技術を使った開発を行う環境はどこまで用意されつつあるのかなどWeb上のさまざまなサイトからピックアップして紹介します。

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 「なぜビットコインは重要か」 by マーク・アンドリーセン

Webの創世記の代表的な起業家、マーク・アンドリーセンがNew York Timesに寄稿した記事を、「ITハッカー」というブログに日本語訳したものを掲載してくれたものです。ビットコインブロックチェーンが何で、どのような可能性があるのかをわかりやすく解説してくれています。

ビットコインはそもそも最も基本的なレベルで、コンピューターサイエンスにおけるブレイクスルー

・インターネットのような信頼のおけないネットワークにおいて、見知らぬ人とどうやって信頼を築きあげるかという命題に対するはじめての実践的な解決策

ビットコインは、インターネットのユーザーが、固有のデジタル財産を他の人に転送することを、初めて可能にした。そしてその取引は安心安全で、誰もがそれが行われたことを確認でき、その正当性を誰も疑うことが出来ない。このブレークスルーの重要性は、どれだけ誇張しても言い過ぎることはないだろう。

ビットコインは、インターネット上に広がる決済サービスで初めて、手数料がゼロ又はほとんどかからないシステム。先進国でさえ、既存の決済システムはだいたい2、3%を取る。

ビットコイン関連のイノベーションで即座に明らかかつ大きな領域が1つあるとすれば、それは国際送金。手数料がゼロか又はかからないビットコインに変更することで、これら移民者や移民者の家族の生活の質は高まる。実際、世界の貧しい国々の沢山の人に、これ以上に早く、ポジティブな効果を与えられるものを考えるのは難しい。

・さらに魅力的な使い道は、少額決済である。ビットコインはいくらでも小額のお金を任意に設定できる。そしてそれを世界中の誰にでもタダ同然で送れる。

・コンテンツのマネタイズについて考えてみよう。新聞のようなメディアビジネスがコンテンツに課金することに上手くいっていない理由の1つが、全てを課金するか全く課金しないかの選択肢しかなかったことである。ビットコインがあれば、1記事あたりの課金が可能になる。

 野口悠紀雄の「ブロックチェーン」講義

PHP研究所のオンラインメディア「THE 21 ONLINE」に掲載された野口悠紀雄先生のブロックチェーン講義の第二回目です。

まずは、ビットコインなどの「パブリックブロックチェーン」と、三菱東京UFJ銀行が発表したMUFJコインのような「プライベートブロックチェーン」の違いを解説してくれています。新聞の記事などではあまりふれられない「根本思想」に違いがあるとのこと。

また、ブロックチェーン技術のビジネス分野への応用として重要な分野のひとつとして「シェアリングエコノミー」をとりあげています。不特定多数の人が同じものを共有するシェアリングエコノミーの世界においてインターネット上で「信頼の確立」を実現することができるブロックチェーンの技術はシェアするために必要なセキュリティをローコストで実現することを可能とするとしてスマートロック(電子キー)のスタートアップ企業の例などを紹介しています。

 Coco Framework – Microsoftが提供するエンタープライズ向けブロックチェーンプラットフォーム

ブロックチェーン技術の活用に取り組んでいる株式会社ガイアックスが運営している、Blockchain.bizにおける記事です。

エンタープライズ向けのブロックチェーン推進に取り組んでいるMicrosoftが2017年8月10日、ブロックチェーンアプリケーションの統合的な開発環境を提供するオープンフレームワークを実装するミドルウェア「Coco Framework」を発表したことをしりあげています。

Microsoftは2015年11月9日に、Ethereumのブロックチェーン環境を提供するサービス「Blockchain as a Service(BaaS)」を発表し、クラウドベースのブロックチェーン開発環境に着手して以来、技術開発を進めてきましたが

Coco Frameworkにより、ビットコインを代表とした不特定多数のメンバーが参加するパブリック型ブロックチェーンの他にEthereumのような既存ブロックチェーンのネットワーク上で、コンソーシアム型の企業間でなされる機密性の高い取引も可能となるとのこと。

Coco Frameworkは、マイクロソフト社のクラウドサービスであるMicrosoft Azureのほか、オンプレミスや他社のクラウド上でCoco Frameworkのノードを稼働させることもできるように実装されたミドルウェアとして提供されます。

 多くの賢い人がビットコインを学ばず後悔するというよくある話

Qiitaに掲載されているブロックチェーンに関するまとめ記事ですが、googleで「ブロックチェーン
で検索すると一位に表示される、別のQitaの記事と同じ執筆者の記事です。

わかりやすいブロックチェーン(blockchain)とは何か? の説明

O’Reillyから出版されている「Mastering Bitcoin」をとりあげています。ブロックチェーンのネットワークが通貨のネットワークではなく「非中央集権化された信用のネットワーク」であると、またこの本質を理解するのに時間のかかるものであるということを紹介してくれている簡潔なまとめ記事です。

議論が深まりつつある AIの利用用途について

AlphaGOやシンギュラリティといった、実業務とは違った特殊な分野の話やまだすこし先の未来の話ではなく目の前の現実のさまざまな分野での業務への人工知能の適用にあたっての議論を目にすることが増えてきました。
広告やPR分野でのAI活用、成功事例でのAIを活用した側面とAIの活用の仕方に対する人間の知恵が必要とされる面についての具体的で興味深い記事をまずはご紹介します。政治におけるAI活用の可能性を感じさせる分野は「限られた資源の再配分」ですが、AIでは難しい部分についてふれている記事や、セキュリティ分野におけるAI活用についての記事などもご紹介します。
最後に、東大の松尾先生のディープラーニングに対する取り組み方などについて話されている記事をご紹介します。ディープラーニングはきちんとした技術なので、軽いノリの迅速な対応がマッチしてきた、ほかのIT技術とは違う対応の仕方がよいというお話をされています。

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 AIを広告文脈で活用する3つの切り口:キーワードは「新しい体験」

アドタイに掲載された、若手人材の発掘・育成を通じて広告クリエイティブの発展を願う、「宣伝会議賞」の特別企画の連載記事の中のひとつです。博報堂アイ・スタジオのCREATIVE AI研究所長の北島さん等が二回にわたって執筆されています。

現時点で広告の文脈で人工知能が活用できる切り口は、およそ3つに整理できるとして
(1)ブランディング、(2)新しい表現の創出、(3)効率化 をあげています。

(1)の例として、とりあげているのが、強い個性を持ったロックバンドのアルバム発売と連携した、プロモーションの一つとしてのチャットボット。チャットボットが尖ったキャラクター設定のため、汎用的なデータ学習ではなく相当量のシナリオデータを準備し、自然言語処理・言語感情解析処理・スタンプ画像など感情とトークを組み合わせ、意図した会話体験が成立するようつくりこみを行い、体験の幅広さを創出して、プロモーション対象であるロックバンドおよび発売するアルバムの世界観を伝えるものとなっているとのこと。

(3)の例として、とりあげているのが、地方自治体のゴミの分別案内チャットボット。捨てたいごみの種別を投げかけると、分別方法を教えてくれる。問い合わせ電話の削減とともに、ごみ分別に対する取り組みのPRにも寄与しているとのこと。
また、話題になっているポイントはいわゆる「神対応」で、いくつかの検索ワードに仕込みがあり、問い合わせによっては「雑談」とみなして乗ってくれるし、捨てたいものとして“妙なもの”を指定すると人生相談の名言を返してくれる。この気の利かせ方が受けて話題になり、認知が広がりPRにも成功しているもの。

これらの取り組みを通して感じているのが、人工知能技術単独で広告としてのコミュニケーションを成立させることはまだ難しいということ。人工知能の能力を表現に引き出しつつ、逸脱する結果に対するフォローなど、体験を成立させるための仕掛けのクリエイティビティも求められる。つまり人工知能が果たす役割を上手く限定することで、企画として成り立つよう制御することが必要なようです。

 セキュリティの現場、AIはどう変えるか

ITproの「企業セキュリティ、七つの鉄則」企画の中の記事です。もともとITのセキュリティ分野は、早くから人工知能技術が活用されてきた分野のひとつとして、迷惑メールの振り分け機能やWebシステムへの侵入検知機能、不正侵入検知システムのネットワークパケット検知機能、ウィルス対策ソフトのマルウェア検知機能などをまず紹介しています。

さらに、これからのセキュリティ分野でのAI活用が期待されている側面として、人材不足の解消、人間による業務の代替をあげています。経済産業省の調査によれば、2020年には国内のセキュリティ人材の不足数は20万人に達するとのこと。そのような人材不足の状況の中で、特にAIが威力を発揮しそうなのがセキュリティアナリストの代替として、企業システムの莫大なデータやログを分析して、このリスク識別・分類のパターンをAIに学習させ、既知のリスクの識別・分類モデルを作り、攻撃パターンの検知ができるようにすることと説明しています。人間は未知のや新たな脅威への対応に集中できるようになるというものです。

 国家を人工知能に委ねる時代の安全保障と、そのとき守るべき自由

「Innovative City Forum 2017」に登壇する慶應義塾大学准教授の神保謙氏への、国際政治学の見地からテクノロジーが導く近未来について聞いたWiredのインビュー記事です。

神保先生の説明する、政治において人工知能が効果を発揮しそうな分野は、限られた資源の配分を行う領域とのこと。限られた資源の配分を考えていくことこそが政治の本質で、個人の利益の最大化を目指す集団では実現し得ない『全体の合理性』を追求するうえでは、人工知能が合理的で最適なプランを提示してくれるようになれば非常に強力なツールとして機能するだろうと解説しています。

一方で、市民の危機管理や国家間の安全保障といった領域において、AIが何か判断を下すことは難しいだろうとのこと。例としてあげているのが、「10万人の犠牲者を出すけれど、長期的に見れば国家を危機から救える選択があったとして、その決定をAIにゆだねることはできない」だろうという点です。倫理的決定をくだすこととも言い換えていますがAI時代の人間に残る最後の役割は倫理的結定をくだすとのことです。

 人工知能は「ITで敗北した」日本企業のチャンスとなるか

フォーブスジャパンの、東大松尾先生と人工知能分野のベンチャー企業新谷の代表取締役社長金井氏の対談記事です。

導入部ではAIの未来について考える国際的なコミュニティも続々と設立されていることを紹介しています。アマゾン、グーグル、IBMフェイスブックマイクロソフトなどによって設立された「Partnership on AI」、ジェシカ・リビングストン、イーロン・マスク、ピーター・ティールらが立ち上げた「OpenAI」など。

松尾先生が、AIに対する日本企業の取り組み方の構造的な問題点、難しさを指摘する中で興味深い観点は、日本企業がこの20年間、IT・インターネットの分野が負け続けてきたが、ディープラーニングはこれまでの各種IT技術とのすこし違い、「きちんとした技術」であり、勉強して、マーケットを計算して、投資すれば生きるはずのものとのこと。したがって、これまでのITとは違って軽いノリで「リーン」でやろうとするのは間違いであるというのはAIへ本腰で取り組もうとする企業にとって重要な視点ではないかと思います。

ビッグデータ活用が始まりつつある匿名加工情報

今年の5月30日に全面施行された改正個人情報保護法により、本人の同意なく活用できる「匿名加工情報」の制度が導入されました。全面施行から半年がたち、企業による匿名加工情報のビッグデータ活用の検討・準備がだいぶ進んできたようで、最近、メディアでも匿名加工情報に関する記事を目にするようになってきました。匿名加工情報とは何か、匿名加工情報を活用する際の注意点と難しさに関する解決記事とともに、最近発表された匿名加工処理を行うソフトウェアに関する記事などをご紹介します。

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 改正個人情報保護法が本日いよいよ施行、ビッグデータの活用が進むか

今年の5月に改正個人情報保護法が全面施行されるタイミングで、その改正保護法の内容とビッグデータへの活用の可能性について解説しているTechCrunchの記事です。

今回の法改正により、取り扱う個人情報が5000件以下の小規模取扱事業者でも規制の適用対象となるので注意が必要な点なども指摘するとともに、何が個人情報であるかの線引きも明確になっていることをまずは解説してくれているとともに、特定の個人を識別できないように個人情報を加工し、個人情報を復元できないようにした「匿名加工情報」は、一定の条件のもとで第三者に提供できるようになることを説明してくれています。

また、この匿名加工情報のビッグデータへの活用イメージとして、交通系事業者は自社で持つ乗客の乗降データを個人が特定できないように加工したデータをデータ分析事業者などに提供できるようになると説明しています。

 「匿名加工」の可能性と課題 専門家に聞く

やはり、改正個人情報保護法の全面施行のタイミングで、日本経済新聞に掲載された匿名加工情報に関する記事です。駅構内で撮影した画像の活用を進める東京急行電鉄の担当者から、情報の加工・取り扱いに関して注意している点や、利用目的・メリットなどをインタビューして聞いています。

東急電鉄は、自社アプリである「東急線アプリ」に昨年10月から「駅視-vision」というサービスで駅構内の混雑状況を加工して配信しています。本サービスは、駅の混み具合が正確にわかればその時間にあえて駅に行くのをやめる人も出てくることも期待して始めたものとのこと。雪の日などで駅構内が大混雑して苦情なども殺到するような状況を想定しているようです。少子高齢化が進む中、混在を解消するために新たに路線を作ったり車両を増やしたりするのは難しくITを屈指してソフト面で混在や混乱を避けるサービスを提供することを目指しているようです。

駅の混雑状況がわかるのは役に立ちますが、画像から特定の個人が特定されると個人情報保護法違反となるとともに、顧客心理的にも問題となるので、いろいろ実証実験も行い、人物の画像をヒト型の模様に変換するなど工夫をこらしているようです。

 匿名加工情報を活用する会社が出現、AIの教師データに

匿名加工情報の活用に名乗りをあげる企業が登場し始めたことを紹介している、日経コンピュータの今月10月の記事です。

匿名加工情報の利用を表明している1社として紹介されているのがシーディーアイ(ケアデザイン研究所)。2017年4月に産業革新機構や介護サービス大手のセントケア・ホールディングなどが出資して設立、要介護者の自立を支援する介護サービス利用計画(ケアプラン)を作成する人工知能(AI)の実現を目指しています。

ケアデザイン研究所では、今まで職人芸の領域だったケアプラン作成の品質をAIで高めることを目指していてAIの学習データとして、特定の個人を特定できないように加工し、元の個人情報を復元できないようにした匿名加工情報とされたデータをセントケアなどから受け取り利用するとしています。匿名加工情報には性別や年齢、要介護度状態区分、既往歴、住居環境、サービス利用状況などが含まれるとのこと。

同記事では、活用を始めている企業の紹介とともに、匿名加工処理の技術面のハードルの高さも課題として指摘しています。データの内容や性質によっては、氏名やIDの削除だけでは不十分で属性や履歴なども元データに戻せないようにする必要があるからとのこと。

 NTT、「匿名加工情報」の作成を支援するソフトウェアを開発

クラウドwatchに9月に掲載された、NTTが発表した匿名加工情報の作成支援ソフトウェアの開発に関する記事です。

同ソフトウェアには、匿名加工処理を行うために各種加工技法とともに、加工処理後のデータに対して、意図する匿名かが施されているか、必要とする有用性が確保されているのかという評価を行うための各種評価技法を実装しているとのこと。データ保有者は、同ソフトウェアを利用することにより、加工と評価の試行錯誤を行うのが容易になるとのことです。

 NEC、個人情報の秘匿化や匿名化が可能なソフト–漢字やひらがなにも対応

クレジットカード番号の秘匿化や個人情報の匿名加工が可能なソフトウェア「Voltage SecureData」の販売をNECが開始したことを伝えるZDnet Japanの9月末の記事です。

CPS/IoTの総合展示会二年目のCEATEC JAPANにみる新技術

10月3日~6日、幕張メッセで開催されたCEATEC JAPAN。これまでの家電見本市からCPS/IoTの総合展示会に変わって二年目、「つながる社会、共創する未来」をメッセージとして、日本の成長戦略や未来を世界に発信する「Society 5.0」の展示会として、どのような新たな「CEATEC体験」が経験できたのか、オンラインメディアの記事をピックアツプしてご紹介します。

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IoTのパナソニックとTVのシャープ、両社に見るCEATECのゆくえ

マイナビニュースのCEATEC JAPNレポート記事です。CPS/IoTの総合展示会にコンセプトを変更して二年目の展示会の様子を、対照的な展示の仕方をしたパナソニックとシャープを例にとって紹介しています。

パナソニックブースの特徴を、薄型テレビを1台も展示しなかったことをまず指摘して説明の導入としています。またメインステージとなる部分を「Open Innovation Lab」と呼ぶステージとして「来場者との対話を通してオープンイノベーションの創出を目指す」内容としているとしていると指摘しています。展示としてピツクアップしているものは以下の通り
B2B向けIoTサービス「μSockets」を活用したソリューション展示
RFIDプロトコルを利用して端末への給電と通信を同時に行うマイクロ無線給電
・幼児向けソーシャルロボット「cocotto」
・温度・湿度などの計測が可能なデバイスを衣服に縫い付けることができるウェアラブルメーカーパッチ
・顔を撮影した静止画上で、本物のメイクをするかのように自由にデザインができる「メイクアップデザインツール」
など

 三菱UFJ、仮想通貨 MUFGコイン初公開 スマホアプリで送金

ITmedia NEWSのCEATEC JAPANレポートです。CEATEC JAPANでは、三大メガバンクが初めてそろって出展や講演を行ったことも各種メディアで取り上げられていますが、三菱東京UFJ銀行が今年5月に試験導入した仮想通貨「MUFGコイン」のデモンストレーションを披露したことをレポートしている記事です。

CEATECのブースでは、ジムのポイントとMUFGコインをひも付ける仮想の事例を紹介。ジムのトレーニング中、ダンベルを持ち上げた回数に応じ、ポイントをMUFGコインとして付与。自動販売機での飲料購入に使えるというデモンストレーションを行っていました。一般向けイベントでの初めての公開。

MUFGコインは、ブロックチェーン技術を活用した、1コイン = 1円の価値をもつデジタル通貨。MUFGコインは、三菱東京UFJ銀行が2017年5月から同行員向けに試験導入中。スマホアプリの画面上で預金口座の残高を1円=1コインに交換し、事前登録した「友達」と取引できる。Suicaなどの電子マネーとは違い、コインから円に還元することも可能。友達同士で食事代などを精算できる「ワリカン」機能も搭載。

 CEATEC 2017で見えた次世代のIoT活用、7社ブースを詳細レポート

ビジネス+ITのCEATEC 2017レポート記事です。CEATECのコンセプトのひとつでもある
IoTに関連した展示を行っていた、オムロンデンソーKDDI、シャープ、富士通、ユカイ工学研究所、カシオなどの展示を紹介しています。

まずはオムロンブースで行われていた、卓球ロボットの紹介。各種メディアでも紹介されていたものです。また、オムロンブースでの注目展示として紹介しているのが、来るべき自動運転時代を見据えた、「ドライバー見守り車載センサー」を搭載したコックピットの展示。時系列ディープラーニングをさらに進化させ、ドライバーの運転集中状態に関して、「運転の状況を注視しているか」「どれだけ早く運転に復帰できるか」「運転席にちゃんと着いているか」という3つの指標で同時に判断しているとのこと。

自動車部品関連メーカー大手のデンソーの展示としては、超小型EVに、VRシステムをまるごと実装して空飛ぶ車から世界旅行を体感できるデモをとりあげています。

KDDIブースではテレイグジスタンスのデモをピックアップ。遠隔地から自分の分身となるアバターロボットを動かせるというもので、もうすぐやってくる5G時代の高速通信を活用した新技術の例としての展示のようです。

 社会実装に向け着実に進化、CEATEC 2017で見たAI

EETimes JapanCEATEC JAPANレポートです。CEATECの「AI-人工知能パビリオン」で展示されていた、産業技術総合研究所(産総研)やNextremerのロボット制御システムや対話システムなどを紹介しています。

まずは、産総研のタオルを折りたたむことができるロボットを紹介しています。深層学習(ディープラーニング)技術を応用したロボットで、これまでのロボットでは扱うことが困難といわれてきたタオルやシャツのような柔らかいものも扱うことをデモしています。折りたたみ作業を事前に人手で30回学習させておくことにより、かなり高い確率でタオルの折りたたみに成功していたとのこと。

またNextremerが行っていた、AI技術を用いた移動マニピュレーターのデモも紹介しています。シミュレーションで学習した結果に基づき、カメラが捉えた映像から円筒形や直方体、立方体といった形状や色を見極め、形状ごとに異なるつかみ方などの動作方法を判断して、マニピュレーター(ロボットの腕)を適切に制御しているとのこと。

 CEATEC 2017で見た「明日の技術」いろいろ

こちらもマイナビニュースのCEATEC JAPANレポートです。最初に紹介しているのは、三菱電機ブースの「AIを用いた音声分離技術」。独自の「ディープクラスタリング」技術によって、一本のマイクに対して複数人が同時に話しかけても、その音声を話者ごとに分離するとのこと。

すでに「3人が同時に話している場合の音声分離まで実証している」とのこと。いわゆる深層学習(ディープラーニング)に類する技術のようです。

その他、MUFGの展示の中からAIによる為替予測などを紹介しています。